『iPad Air』の登場は13インチモデルの『iPad Pro』登場の布石

『iPad Air』は『iPad Pro』登場のための布石である可能性が高い気がします。

『iPad Air』の名称の謎

全日本国民が生中継を見たかと思いますが、本日の午前2時にAppleの新製品発表会が行われました。この発表会では新型『Mac Pro』やOSXなど、最近のAppleの発表会では珍しく、一度に多くの製品が発表されました。

その中で特に気になったのが、従来の『iPad Retinaディスプレイモデル』のモデルチェンジでもある『iPad Air』の登場です。今回はその『iPad Air』について、僕がこの名称からいろいろと思うことをまとめてみました。

“MacBookブランド”の確立

Macの中でも、特にAppleが力を入れている製品が『MacBook』です。

もともと『MacBook』シリーズには

• MacBook
• MacBook Pro
• MacBook Air

の3つのモデルが用意されていました。

無印の『MacBook』はスタンダードなネットブック端末、『MacBook Pro』は価格よりも性能、機能性を重視した端末、『MacBook Air』は価格を犠牲にして薄さ、軽さを重視した端末でした。

しかし2010年に大幅なモデルチェンジを遂げた『MacBook Air』が登場。無印『MacBook』よりも安く、それでいて高速。さらに薄くて軽いの良いことづくしで、逆に無印『MacBook』のニーズが激減しました。

性能をそこまで必要としない人は『MacBook Air』に流れ、対して性能を必要とする人は『MacBook Pro』に流れていきました。無印『MacBook』の立ち位置は微妙なものになり、結局、2011年の7月をもって静かに販売が終了されることになりました。

こうして現在の『MacBook Pro』と『MacBook Air』の2つから成り立つ、新たな“MacBookブランド”が確立されたわけです。

Appleのとてつもないブランド力

Appleの評価されるべき販売戦略の1つとして“ブランド”が挙げられます。そう言うと多くの人はAppleという1つの企業のブランドを思い浮かべるかもしれませんが、個人的には、製品に与えられたブランド力が「ハンパネェ」って思ってます。

ブランドに大きな影響を与えるのが、その商品の名称です。日本企業の多くの製品にブランドを感じられない原因は“商品の名称が型番みたいで覚えづらい”というところにあると思っています。

『iPhone』や過去の『iPad』を除き、Apple製品の多くはモデルチェンジしても商品名自体の変更はありません。モデルの識別方法としては、『iMac late 2012』のように、リリースされた年を添えて表現することがあります。

名称が変更されないメリットとしては、多くの人にその名称を覚えてもらえることが挙げられます。何年経っても名称が変わらない『iMac』は、『IS03』『IS04』といったコロコロと名称を変更する機種よりはるかに知名度が高いです。

“iPadブランド”を“MacBookブランド”と統一させた

今回新たに発表された、というより、既存の9.7インチ版『iPad』を『iPad Air』という名称に変更したのは、中途半端なブランドではなくMacBookブランドのような確立された、新たな“iPadブランド”を展開する狙いがあったかのように見えます。
加えて、従来の『iPad』と『iPad mini』を簡単に識別するために、MacBookブランドのように、あえて無印の『iPad』を消す必要がありました。その結果、『iPad Air』が登場したのでしょう。

『iPad Air』の“Air”は、“薄い”や“軽い”という意味を表しています。これは『MacBook Air』の“Air”からとってきたものです。『iPad mini』と識別するための名称にするのであれば、大きな違いである“本体のサイズ”を名称にこめれば良かったわけです。例えば『iPad big』のように。

しかしAppleは『iPad Air』と名付けました。この名称からして、『MacBook Air』と同じ位置づけであることが分かります。これは、MacBookブランドとiPadブランドの統一を図ろうとしているのではないかと思います。

『iPad Pro』登場の可能性は十分ある

MacBookブランドとiPadブランドを統一するのであれば、『MacBook Pro』と同じ位置づけのiPadも登場するはずです。そして僕は『iPad Pro』が登場するのではないか、と予想します。

今年に入ってから、13インチ版のiPadが開発されているという噂をよく耳にします。もちろんこれは単なる噂レベルではありますが、近頃のApple製品の発表を見る限り、最近のApple製品に関する噂は決して軽視できるものではありません。

そもそも現在のタブレット端末が普及したのも、初代『iPad』が販売されたことから始まりました。それ以前もタブレット端末は存在していたものの、その市場をとてつもなく大きなものにしたのはAppleです。
同様に、今現在13インチ級のタブレット端末の市場は存在しないに等しいです。もし来年、もしくは再来年に『iPad Pro』なる13インチ『iPad』が登場するのであれば、この13インチ級の市場はとても大きなものになるでしょう。

今は「13インチの大きさもあってどうするの？」と思うかもしれません。しかし、医療に役立つアプリも豊富な『iPad』の大きなモデルが登場したら、まず最初に医療機関で、次に教育機関で、と次第にニーズが幅広くなっていき、数年後には「13インチの『iPad』買おうかな〜」と悩む日もくるかもしれませんよ。